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イレクターパイプでソーラーシステム 第二話 : 重さ9kgのソーラーパネル、イレクターパイプDIYの転倒防止策!

イレクターパイプでソーラーシステム 第二話 : 重さ9kgのソーラーパネル、イレクターパイプDIYの転倒防止策!
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ラボでの小さな疑問符

ラボの片隅で、潮目は自作したイレクターパイプ製の架台をうっとりと眺めていた。
その上には、先日設置したばかりのソーラーパネルが鎮座している。

「いやはや、何度見ても素晴らしい……自作は愛着が湧きますよね」

満足げに頷く潮目に、背後からナギがそっと声をかけた。

「潮目さん、ご満悦のところすみません」

「お、ナギ君!どうだい、この雄姿!」

「雄姿も何も、ただのパイプですが。それよりあのパネル、仕様書では重量が約9kgとありますよね」

ナギはパネルを指差しながら、冷静に続ける。

「よくこの細い脚で安定しているものだと感心します」

「見た目に反して、イレクターパイプってけっこう頑丈だからね」

「なるほど確かに。ですがトップヘビーになるのは間違いないでしょう。安定方法に、何か特別な工夫でも?」


トップヘビーとの戦いの記録

潮目は待ってましたとばかりに目を輝かせた。

「よくぞ聞いてくれたねナギ君!もちろん、僕がノープランで組むわけないじゃないか!」

「いつもケーブルを踏んで転んでいる人が言うと説得力がありませんね」

「うっ……と、とにかく!当時の僕の苦悩と閃きに満ちた記録を見てくれたまえ!」

潮目は勢いよくタブレットを操作し、当時のフィールド・ログをモニターに映し出した。

【潮目研究員のフィールド・ログ】
ソーラーパネルは、GWSOLARのGW-E150Aを選びました。
理由は24Vのリン酸鉄リチウム電池に充電したいからです。このパネルの詳細については次回に解説しますが、わりとお気に入りです。
重量約9kgなので、何も考えずに架台にのせると、トップヘビーになって転倒リスクがありますね。
架台はいちおう、下が広くなるようにしましたが不安です。
イレクターパイプの足をブロックに入れて隙間をモルタルで埋めるというのも考えましたが、移動や改修時に不便と思い、今回は写真のような水を入れるタイプの重りにしました。
ずっと屋外に出しといて劣化しないか心配だったが、案外、大丈夫。劣化したらそのときまた考えよう。

ログを読み終えたナギが、静かに口を開いた。

「なるほど」

「どうだい?僕の緻密な計算と大胆な発想が……」

「『何も考えずにのせるとトップヘビー』…つまり最初は何も考えていなかったんですね」

「ぐっ!」

「あと最後の『劣化したらそのときまた考えよう』。これは緻密な計画とは言わないのでは?」

REQUISITION_DATA DETECTED

調査を継続するための推奨装備が観測されました。

>> ACCESS_DETAILS

割り切りという名の設計思想

潮目はナギの的確なツッコミにたじろぎながらも、必死に反論する。

「こ、これは柔軟な思考の現れだよ!フィールド実験では状況が常に変わるんだから!」

「と言いますと?」

「モルタルで固めてしまったらどうなる?ちょっと場所を動かしたい、角度を変えたいって時に、また全部壊さないといけない。それこそ非効率的じゃないか!」

熱弁を振るう潮目。

「その点、この水タンク式の重りならどうだい?設置は水を入れるだけ、撤去は水を抜くだけ!コストも安いし、可搬性も抜群!これぞフィールドワークにおける最適解の一つだと思わないかい!」

「……確かに、実験設備の可動性と再構成の容易さは重要な要素です。恒久設置物ではない以上、その判断は合理的と言えますね」

ナギが珍しく納得したような表情を見せる。
潮目はすっかり気を良くした。

「だろう!?物理的な安定性だけじゃなく、運用面での安定性も考慮した、僕のファインプレーさ!」

「なるほど。ただ、『案外、大丈夫』で済ませるあたり、耐久性のデータログは取っていないようですね」

「そ、それはこれから取る予定だよ!もちろん!」


天からの声、そして新たな課題

その時だった。
ラボの天井に設置されたスピーカーから、凛とした声が響き渡った。

『監視カメラで全部見ていたわよ、潮目』

「しょ、所長!?」

潮目とナギは、電流が走ったように背筋を伸ばした。
モニターには、本部で優雅にコーヒーを飲む白波所長の姿が映し出されている。

『その場しのぎの工夫かと思えば、意外と理にかなっているわね』

「は、はい!」

『その『劣化したら考える』という割り切り、重要よ。完璧な耐久性より、低コストで交換可能なモジュール構造の方が、変化の速いフィールド観測には向いている。無様だけど仮設インフラの設計思想としては評価できるわ。特別手当、少しだけ出してあげる』

「しょ、所長ー!ありがとうございます!」

潮目が感激に打ち震える。
だが、所長の言葉はそれで終わらなかった。

『ただし』

その一言で、ラボの空気が凍りつく。

『その重りの水が腐って異臭騒ぎを起こしたら、あなたのボーナスから天引きするからそのつもりで』

「ひぇっ……!」

通信が切れ、静寂が戻ったラボで、潮目は真っ青になっていた。
ナギは無表情のまま、手元の端末にタスクを打ち込む。

「……定期的な水質チェックと交換作業のスケジュールを、潮目さんのタスクリストに追加しておきます」

※架台をたまに移動したりするので、この方法だと楽で良かったです。

実際のところ、水については、密閉してるから臭いは漏れてこないですけどね。

あ、使ってるパネルの種類とか、ケーブルの引き回しの話をしてなかった。第三話に続きます...

MISSION_EQUIPMENT: FINAL_CHECK
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