イレクターパイプでソーラーシステム 第一話 : 台風にも負けない!ソーラーパネル自作架台を組んでみた話
ラボの穏やかな昼下がり
ラボの休憩スペースで潮目が満足げにコーヒーを啜っている。
その背後から、ナギがそっと声をかけた。
「潮目さん。今日は珍しく穏やかですね」
「おや、ナギ君!いやあ、ちょっと週末のDIYを思い出して、悦に入っていたところですよ」
潮目はニヤニヤしながらタブレットを操作する。
「DIYですか。また何か爆発させたりはしてないでしょうね」
「してません!今回は大成功だったんですから!自宅の庭に、未来への第一歩を設置したんですよ!」
目を輝かせる潮目に、ナギは少しだけ興味を惹かれたようだった。
自作架台の設計思想
「未来への第一歩、ですか。大げさですね。それで、これがその記録だと」
ナギが潮目のタブレットを覗き込む。
そこには、詳細な作業ログが表示されていた。
【潮目研究員のフィールド・ログ】
庭の空きスペースでソーラー
イレクターパイプの組み合わせで架台をつくった。
接合については、後でバラしたり組み合わせを変えたりしいときのために、メタルジョイントにしました。
できればインパクトドライバあるといい! 無くても六角レンチがあれば何とかなりますが、がっちり組み付けるべし。
ソーラーパネル固定用ブラケットとイレクターパイプを、U字ボルトで接続した。
イレクターパイプの足元は、土にめり込まないように、平らで頑丈なブロックとかを敷いた。
あと強風でズレたりコケたりしないように、水を入れるタイプの重り(1個あたり10kg)で4脚をホールドした。
(ちなみに過去3年、台風の直撃をうけてもびくともしなかった。まずいと思ったらパネルを事前にはずしてしまっておくといい)
ケーブルは4sqでMC4コネクタのやつ。
MC4コネクタの圧着ペンチも必要だね。
ケーブルの皮むきは、ケーブルストリッパーで。無いなら電工ナイフで。
通風孔またはエアコンの穴を使ってケーブルを屋外に通します。虫とかホコリとか入らないように、パテなりコーキングなりで隙間を埋めましょう。
「ほう……これは本格的ですね。ソーラーパネルですか」
ナギは感心したように頷いた。
「そうなんです!でも今回は特にこの架台を見てほしくて!」
調査を継続するための推奨装備が観測されました。
>> ACCESS_DETAILS鉄壁の耐候性と拡張性
「イレクターパイプとメタルジョイントの組み合わせ。なるほど、これは賢い選択です」
ナギがログのテキストを指でなぞる。
「ですよね!後からでも組み替えられる柔軟性が魅力的なんですよ!パネルを増やしたくなってもすぐ対応できるんです」
「モジュール式の設計思想ですね。システムの拡張性が担保されていると」
ナギの的確な分析に、潮目は嬉しそうに何度も頷く。
「それにこの耐風設計。素晴らしいです」
「えっ、そこですか」
「ええ。足元の沈み込みを防ぎ、さらに総重量40kgの重りで固定。風による転倒モーメントをかなり意識した構造です。重心が低く安定している」
「いやはや、そこまで考えてたわけじゃないですけど、結果的に!この3年間、台風が来てもびくともしなかったんですよ!」
「過去の耐候データが、設計の正しさを証明していますね。素晴らしい実証実験です、潮目さん」
「そう言ってもらえると嬉しいなあ!パネルを外せば、ただの頑丈な物干し竿にもなりますしね!」
潮目が胸を張った、その時だった。
天からの声
ラボのスピーカーから、凛とした声が響き渡った。
『潮目、そのログ、見ていたわよ』
「しょ、所長!?」
「ボス!?」
壁の大型モニターに、本部で腕を組む白波所長の姿が映し出される。
『素人のDIYと侮っていたけれど、なかなか堅実な設計ね。特にイレクターパイプによるモジュール構造と、複数の冗長性を持たせた耐風設計。シンプルながら美しいわ』
「あ、ありがとうございます!」
潮目は背筋を伸ばして直立不動になる。
『その設計思想、災害時の仮設通信基地局の架台に応用できるかもしれない。すぐに設計図を本部に送りなさい。ラボの予算で特許申請の準備をするわ』
「えええええ!?」
驚く潮目の横で、ナギが小さく呟いた。
「……潮目さん。庭の物干し竿が、特許になるかもしれませんよ」
あまりの展開に、潮目は持っていたコーヒーカップを取り落としそうになるのだった。
※ちなみに扉絵の写真が現物です。重り取り付け前の状態です。
使ってるパネルの種類とか、ケーブルの引き回しは第二話に続きます...